中村 仁一 なかむら じんいち
1940年長野県生まれ。
社会福祉法人老人ホーム「同和園」付属診療所所長、医師。
京都大学医学部卒業。
財団法人高雄病院院長、理事長を経て、2000年2月より現職。
一方、「同次医学研究所」を設立、有料で、「生き方相談」「健康相談」を行う。
1985年10月より、京都仏教青年会の協力のもとに、毎月「病院法話」を開催。
医療と仏教連帯の先駆けとなる。
主な著書は、『老いと死から逃げない生き方』『幸せなご臨終ー「医者」の手にかかって死なない死に方』

私は、特別養護老人ホームの常勤の配置医師です。
この配置医師という行政用語は凄いと思います。
まるで、富山の置き薬のようです。
最近まで、「アイヌの土人」(北海道旧土人保護法、1997年廃止)
と呼んでいたお役所体質の面目躍如たるところです。
それかあらぬか、私はそろそろ賞味期限が切れる頃なのに、代わりの医者が、なかなか見つかりりません。
老人ホームは福祉系ということもあり、知り合いに声をかけても、
「いくら何でも、そこまで身を落としたくない」という答えが返ってきます。
本文 抜粋

突然で、余りにも突飛な質問ですが、『もし、あなたが病気で死ぬとしたら、どんな病気で死にたいですか?』

この本の筆者である中村先生は、老人ホームの医療現場の経験を踏まえて、『癌で死にたい』と書かれています。
『え、癌?』
『そう、癌です』

何とも、意外な答えを聞いたような気がします。
癌って苦しんで、大変な感じがするんですが…。

3人に一人は癌で死ぬ時代。
医者の手にかからずに死を迎える人の数は極わずか。
癌も早期発見と言われて、人間ドッグや健康診断やらで、早めに発見し、見つけて、早めに手術で除去、そして放射線治療を受けて万全と言うのが今のスタンダードな路線ですよね。

ところが、この本の中で『癌は治療しなければ痛まない。
治療をすることで、拷問のような苦しみを味わった挙句、やっと息を引き取れる』と書いてあります。
『あれ!!!!!』何とも不思議な話です。

自分の死に方は自分で決めて、出来る限り、自然に任せる。

数百例の「自然死」を見届けてきた経験からくるこの考え方は、本を読んで、今の医療現場での様々な事を知ると、かなり説得力があります。

身体を傷つけないので、家族は比較的、鼻チューブ栄養には同意しやすい傾向があります。
鼻からチューブが四六時中入っている違和感は、相当なものがあります。
以前、「集い」の例会で、参加者に鼻チューブを入れて体験してもらったことがあります。
(見物人は、そのチューブからビールを注ぎ込んで楽しみました。)
異口同音に、こんなことをされたらたまらないといっておりました。
意識があれば、当然、引き抜こうとします。
“頭が不自由”な場合は、なぜこんなことをされるのか理解できませんし、説明も通じません。
不快感から逃れようと、隙をみて抜こうとします。
しかし、それでは困りますので、手を縛り上げることになります。
しかし、縛り上げてまで与えなくてはならない栄養って、いったい何なのだということです。
本文 抜粋

命のある限り、出来ることは何であれ、力を尽くしたい。
それも、正直な気持ちでしょう。
だから、中村さんいわく、最近はやりの『エンディング・ノート』を書くように勧めてます。
自分の色々なことを自分で決めていく。
そんな生き方を進めているようです。

(J)

「大往生したけりゃ医療とかかわるな  「自然死」のすすめ 」