桐野 夏生(きりの なつお)
1951年生まれ。
‘93年『顔に降りかかる雨』で、第39回江戸川乱歩賞を受賞。
‘97年発表の『OUT』は「このミステリーがすごい!」の年間アンケートで国内第1位に選ばれ、同年同作で日本推理作家協会賞を受賞。
‘98年『柔らかな頬』で第121回直木賞を受賞。

ミステリー界の“三F現象”とは、作者、主人公、読者ともに女性(フィーメル)であることを指すらしい。
この『顔に降りかかる雨』は、近年のミステリーブームを巻き起こした作品である。
ハードボイルドミステリーの確かな手ごたえと、冷静でクールな判断力を持つ主人公は、女性の憧れのイメージかもしれない。

村野ミロは、やな夢を見て目が覚める。
ジャカルタの郊外の夢。
彼女の夫は、そこで首つり自殺をして亡くなる。
そのことから、深い悲しみと後悔、憎しみや絶え間ない自責の念を覚え続けてる彼女である。

真夜中の電話のコール音に眠りを覚まされたその翌日、ミロは友人のノンフィクションライターの宇佐川耀子が、1億円を持ち逃げして、失踪したことを遥子の愛人でもある成瀬から聞かされる。

無くなったお金は成瀬が借りていたお金で、成瀬には妻も子どももいる。
耀子から聞かされていたように、外車の中古販売をする成瀬は、予想以上に素敵な人であった。
しかし、成瀬の店も以前ほど羽振りは良くないようだ。

真夜中の電話の相手は、耀子だと直感するミロだったが、何も詳しい事情も分からぬまま彼女は、耀子の失踪事件に巻き込まれていく。

暴力団がらみで警察には届けられないこの事件。
成瀬とミロは、1週間という時間の枠の中でお金と耀子の行方を探す。

耀子は少し前に、新作の取材でベルリンに行っていた。
娼婦の姿をして、
髪は金髪に染める。
ベルリンの壁の崩壊後のドイツで、金髪の東洋人女性を人々はどのように見るのだろうか。
そして、
その時の取材用と思われるフロッピーディスクが無かったりする。

見かけの派手さとは裏腹にどうやらお金に困っていたらしいこと。

耀子の美しくかつ有能なイメージとは反対に自分自身に強いコンプレックスがあり、そのことをミロには見せていなかったこと。
また、そのベルリンの取材で思わずトピックを見つけていたらしいこと。
様々に、相矛盾する情報が交差する。

ネオナチ(新ナチ主義のグループ)との関わりや、占い師 ジュヌウィエーブの話。
そして、死体愛好家からのメッセージ。

手詰まりに成りながらも少しずつ前に進む二人。
そして、ついにお金は見つかり、一件落着かと思えるのだが…。
最後のミロが辿り着いた真実とは…。

一気に読ませる感じ!
お蔭で寝不足なんてことにならないようにね!

(J)

「顔に降りかかる雨」