大石 静 Oishi Shizuka
1951年東京生まれ。
脚本家。
日本女子大学文学部卒業。
NHK朝の連続小説「ふたりっこ子」で向田邦子賞と橋田賞を受賞。
脚本作品に「First Love」「功名が辻」があり、「四つの嘘」「愛才」「ポンポンしてる?」「日本のイキ」など小説やエッセイなどの作品がある。

自分の子どもより二歳しか違わない、17歳年下の男性と恋をする。
美しくまた魅力的、仕事のキャリアもあり、実力もある。
そんな女性の恋愛小説。

目の前で、ランチのビーフシチューを美味しそうに口に運ぶ鈴木行の手元を見つめながら、るいは思った。
指の長い男は不実だ……。
男性経験は別れた夫だけだが、彼も長くて細い指だった。
十九歳の時、これが恋愛なんだろうと錯覚してしまい、早々に子供が出来て学生結婚した。
しあわせという名の甘い感情に酔えたのは、お腹が目立ちはじめる前までで、臨月近くになると夫はよそ見を始めた。
思い出すのもバカらしい結婚生活だった。
お互いに若かったと言えばそれまでだが、るいがその後、男を愛することが出来なくなったのは、別れた夫があまりに不実だったからだろう。
本文 抜粋

中村るいは、向井肇と出版社を設立し、『出版社の奇跡』と言われる程、順調に業績を伸ばした。
るいは、自分の仕事に打ち込み、熱意を持ってきた。
自分独自の出版に関する意見を持ち、淡々と熟してきた。

そんなるいが、東大法学部から金融庁に入局した鈴木行に本の出版を進めるために会う。
行の妻の万里江は長崎の財閥の娘である。
絵に描いたようなエリート夫婦の行と万里江夫妻だが、るいと行にとっては運命的ともいえる出会いであった。

金融庁を辞めて本の出版と始めとし、自分の事業を始めた行は、るいの予想通りに人気を博し、着々と成功の道を辿る。

この男の端整な容姿と一途な物言いは、人の心を必ずつかむ、というるいの最初の直感は見事に当たった。
夏になる頃、行は経済評論家として、深夜の討論番組に登場、一躍マスコミの寵児となった。
彼を特集する番組も作られ、雑誌にもしばしば登場し、清潔感あふれるキャラクターはインテリの心だけでなく、
奥様方にも、「金融王子」として人気を博した。
本文 抜粋

行を避けていたるいであったが、自分の気持ちが行に惹きつけられていることはどうすることもできなかった。
また行の方も、自分の妻とは違うるいに出会い、人を愛するという事を知る。
当然ながら二人は恋仲になり、逢瀬を重ねる。

恋愛小説です。
めちゃくちゃ出来過ぎの内容です。
美しくバリバリと仕事ができる二人が、お互いに惹かれて、家庭も犠牲にし、周囲の目を気にしながらも、自分たちの気持ちを大切にする。
ですが、運命は二人に味方せず、最後はすべてが破局に終わるストーリーです。

ふうーんって感じで読み終えて、ふと考えました。

『この話って読みようによっては凄いかも…。
世間の常識とか、人の目とか噂とか全部度外視してるわ!

確かに、二人はこの関係でとても悩み苦しむけど、最後には、すべての殻を打ち破り、永遠不滅の愛を育てるってことか…?』

純粋な愛には危険や冒険は付き物なんでしょうか。
それに、行の妻の万里江が、とことん意地悪をし、それでいて、どんどんと自立していく姿が描かれています。
…そんなのありかな…

そんな物語です。

(J)

「セカンド バージン」