1900年 夢解釈 Ⅰ   新宮 一成 訳

天の神々を動かす能わずば、冥界を動かさん
ウェルギリウス『アエネイス』第7巻

精神分析の祖 フロイドの夢解釈の本は、夢に関してのさまざまな事が書かれている。
また、フロイド自身の自己分析からなる事例も書かれていて、興味深い。

夢とは何か?
夢の素材から、人はどんなふうに夢を加工するのか?
夢のプロセスは、どういう風に解釈されるのか?
多くの文献から、色々な説を引用しながらも
フロイドは自説を解き明かす。

これまでに見てきたように、入眠時においてすでに、こころの活動の一つである表象運動の意思制御が断念される。
してみれば、睡眠状態は、心の作業能力の上にそもそも広く及んでいるのではないかということを仮定してみたくなるのは当然の成り行きである。
本文 抜粋

フロイド以前にも、夢について色々な理論や判断がされていた。

「夢の像の支離滅裂さこそ、唯一本質的な夢の性格である。」 ルモワール

「完全に合理的な夢というものは存在せず、夢は多少とも支離滅裂と時代錯誤と不条理とを含んでいる」  モーリ

「〈夢とは心的、情動的、そして精神的な無政府状態である。
それは、自分自身に委ねられた機能の動きであり、統制も目標もなく作動する〉」  デュガ

「覚醒の間は中心となる自我の理論の腕力によってまとめられていた表象生活が、ゆるみ、ほどけ、互いに交じり合う」   フォルケルト

「《どんなに不条理で混乱して起動を逸っしたものでも、それを夢で見ることができないということは想像もできない》」  キルケ

「心理学的活動が、理性ある人の脳から狂気の人の脳へと引っ越ししたかのようである。」  フェヒナー

「実際のところ、この狂騒の中に確固たる法則を認めることは不可能である。
覚醒時の表象経過を導く理性ある意思や注意力を警察に喩えれば、その警察が引き払ったのを見計らって、夢はすべてをごっちゃにした万華鏡の狂った戯れのように渦巻かせる。」  ラーデシュトック

「十の夢のうち九つは不条理な内容のものである。
互いに何の関係もない人物や事物をわれわれは夢の中で一緒くたにする。
そして一瞬の間に、ちょうど万華鏡が回転したかのように、その組み合わせ方ががらりと変わってしまい、前よりもさらにさらに無意味になり、たがが外れてゆく。
中途半端に眠っている脳のめまぐるしい戯れはかくの如きに進んで行き、ついにわれわれは目を覚まし、額に手を当てて自問する。
ああ自分にはこれでもまだ、まともに想像したり考えたりする力が残っているのだろうか、と。」  ビンツ

様々な夢に関することが言われる中、覚醒時とは確かに違う夢の在り方は、睡眠中の各種の要素や、昨日今日などの出来事で決定するという。
外的な感覚刺激はその要素の一つと言われる。

例えば、香水などを垂らして寝ると身体感覚などに影響とする。
そして、寝る時の身体の調子や四肢の姿勢に関係するもの。
内的(主観的)感覚興奮もそうである。
また、病気の時には、寝心地の悪い夢を見たりする。
覚醒の時の生活との関連もある。

夢を分析の対象としたフロイトは、夢は、自らの欲求達成であると言っている。
夢の内容ではなく、分析されていく過程で結論は出る。
どんなに不安な夢でも、どうしても目的を達成できない夢でも、その夢分析の結果、なんだかの本人の欲求が満たされているという。
何だか合点がいくようないかないような・・・。

(J)

「フロイト全集4」