ジェニーン・ロス  監訳  斎藤 学  ・ 佐藤 美奈子 訳

ジェニーン・ロス Geneen Roth
摂食障害の分野の講演・著作で、世界的に著名なセラピスト。
1979年以降、全米規模で開催されている「解放ワークショップ」の創設者。

斎藤 学 さいとう さとる
1941年、東京生まれ。精神科医。
東京精神医学総合研究所研究員を経て、現在、家族機能研究所代表。

「摂食障害」という言葉は、メディアなど、いろいろな所で紹介されて現在、この「摂食障害」という言葉を、聞いたことがないという人も少なくなってきた。
食べることに苦しみ、ダイエットやフィットネスに勤しみ、少しでも痩せることを望む。
カロリーの計算をして食べ物を選ぶ。
痩せて理想の自分を目指す。

この本は、アメリカで「解放ワークショップ」と言われる摂食障害者向けのワークショップを主催しているジェニーン・ロスが、自分の過食の経験を書きながら食べ物との付き合い方と、食べ物の持つ意味を考えることで、解放されるかもしれない方法を書いている。
但し、この本は、カウンセリング・セラピー・医療の代わりではない。

「「・・・・・まず第1にですね、ある特定のフルーツの組み合わせだけを食べるようにというダイエット法があるかと思えば、タンパク質をとりなさいというダイエット法もあります。
装かと思えば、高水準の炭水化物ダイエット食品を食べるようにというのさえあります。
あなたは今、これらとは違う、何か別のことをしていらっしゃるようですけど、それって、私がこの十五年間にせっせと励んできたダイエット法と変わらないじゃありませんか」

彼女が腹を立てているからといって、彼女を責めるつもりはありませんし、彼女がこれほどまでの年月をかけて寄せ集め、そのために自分が理解しているものと理解していないものの区別がつかなくなっていることを責めるつもりもありません。
彼女は、空腹のときに食べなさいと私が言ったから腹を立てたのです。
何年にもおよぶダイエットは、自分自身の身体のメッセージを信用しないように彼女に教え込んでしまったのでしょう。
十五年のダイエットを経て、彼女はもはや食べることが空腹と関係していることを忘れてしまったのです。」
本文抜粋

「わたしは二十八歳になるまでに、自分の前にある食べ物は何でも、それがどれくらいのカロリーかわかるようになりました。
どうやったら体重が減るのか、
また増えるのかも知りました。
それに自分の体重を維持する方法も知りましたし、ダイエットの方法も、過食(ビンジ)の方法も知ったのです。
しかし、いつ自分が空腹なのか、それはわかりませんでした。
もっともつらいことに、空腹というのは、それはそれで良いことなのだということを知らなかったのです。
誰も教えてくれませんでしたし、たとえ教えてくれたとしても、空腹は自然だということを忘れてしまっていたのです。」
本文抜粋
「過食とは自分がいたわられていないと感じたときに、何とかして自分自身をいたわろうとする切羽詰まった試み」と書かれている。
過食以外のアディクションにも例えば、アルコール依存やキャンブル依存にも他者からの承認を求める心理はあるという。

食べ物に嵌る人たちの食べ物や食べることに求めることは、いったいなんだろう。

ワークショップの中で、いろいろな事をする。
“座って食べること”“食事に集中すること”“あなたにとって、充分かどうか確かめる”“自分の欲求”“自己批判”“脂肪の持つ意味”“痩せることと太ることの意味”
etcetc.

もし、痩せてすらっとしたスタイルになれたら、自分の本当に求めている生き方が手に入る。
そんな幻想を抱いている人がいたら、ぜひ、この本を読まれることを勧めます。

私たちは幸せを当然のように考えていますから、もしそうでないと、自分は罰せられていると考えてしまい、どうして罰せられるのだろうと考えるようになります。
いったい私のどこが、そんなにひどく間違っているのだろう。
私はいけない人間なのかしら。
まずそう考えます。
しかしこのように考えること自体大変つらいですから、これをしりぞけようとします。
それでもそのつらさが続いているとき、自分は罰せられている、と考えてしまうのです。
自分の幸せを当然と考えてはいけないと、誰がいうのでしょうか。
本文抜粋

(J)

「食べ過ぎることの意味」