室井 滋

室井 滋(むろい・しげる)
富山県出身。
早稲田大学在学中の1981年、『風の歌を聴け』でスクリーン・デビュー。
映画『居酒屋ゆうれい』『のど自慢』など女優業を続けるかたわら、エッセイを書く。
特技:釣り(一級小型船舶免許所有)、麻雀、テニス
好きなもの:自転車、食べられる実のなる木、愛猫チビ!ロング!コロ!キン!

ガンバレ猿岩石!

ユーラシア大陸(香港ーロンドン間)をヒッチハイクのみで横断して、メディアを賑わせた『進め!電波少年』を覚えていますか?
そうそうそう言えば、そんな番組あったよなって感じですね。

作者の室井さんは、その『電波少年』の企画で、猿岩石を応援するべく、救援物資をリュックに詰め込み、彼女自身もヒッチハイクしながら、日本から遥か遠く出かけたそうな。
その様子も確か放送されましたよね。
その時は、本当に大変だったとか言う話が書かれてます。

室井さんが出かける時に、手元にあったお金はわずか五千円。
制作者側からそれだけと渡されたようです。
100万ももっともらえるチャンスもあったようですが・・・。
当然旅先でお金は底を尽きかける。
仕方なく、垢すりのアルバイトで急場をしのいだとか、猿岩石が何処にいるのかの情報もなく、プラカードを下げて尋ね歩いたとか・・・。

何だか懐かしい話です。
時代の流れの速さを感じてしまいます。
この「猿岩石」の話、“遣らせ”じゃなかったらしいというのを読み、本当に室井さんも猿岩石も悲壮というか、大変な思いで番組作ったんだと実感しています。

コンピューター・グラフィックがメディアや色々な所で使われて今ならこんな実感を感じる番組を作らなくなったような気がして寂しくもあります。

びっくり便所

東京の目黒にある「目黒雅叙園」のトイレ。
びっくりするぐらい広いらしいんです。

そのことを知らせたくて、彼女はSくんに話す。
S君は恵比寿駅前のマンションに引っ越したばかり。
昔から、都心の暮らしにとてもあこがれていたS君は、値段が高くなるにもかかわらず、このマンションに引っ越してきた。

『所詮、男の一人暮らし。大した家具もないんだから、僕、平気、平気』
その彼。
さっそく四畳半の部屋に、三畳大のカーペットを敷いてみたが、何故かカーペットの方が余る。
「さすが恵比寿、畳一畳が当たりまえの一畳だと思う方がおかしいかぁ。」と言う。

片づけがひと段落して、便意をもよおしトイレに行く。
ところが、膝がはみだしドアにごつんとぶつかる。
部屋全体がミニテュアみたいになってんじゃあ・・・。

田舎からきた彼のお母さん。
トイレに入れなくて予定を変更して帰宅。
雅叙園のトイレの話しを聞き、今度、田舎からお母さんが来たら、東京にも広いトイレがある事を、見せたいという話。

何でもない日常の話が続く。
その何気なさが心地良い。
作り物でない、本物のあっけらかんとした、まさに「すっぴん」が相応しいんですよね~。
室井さんの雰囲気がそのまま伝わってくるような、そんな感じを覚える本でした。

(J)

「すっぴん魂(コン)」