アートと職人、クリエイターと芸能人
大野 佐紀子

なぜ人はアーティストになりたがるのか?

アーティストという言葉は、魅力的な響きがあるようだ。
一昔前まで「メイクさん」といっていたのが、いまや「メークアップ・アーティスト」と呼ばれる。
華道家は、「フローラル・アーティスト」美容師は、[カリスマ美容師」から「ヘアー・アーティスト」へ。

そもそも、アーティストとは、何者か?

「アーティスト」とは、もとは美術家のことを指していたが、今ではその範囲は大変広い。
「美術」も今では大変範囲が広いが、もとは、絵画と彫刻という二代ジャンルで成り立っていた。
そこで当然のことながら、絵を描くための技術、石や木を彫るための技術が必須であった。
技術は高いに越したことはない。
アーティストとは、レオナルド・ダ・ビィンチからピカソまで、一夜にして到達できない高い技術を身につけたうえで、各々の創作活動を行った者とされてきた。
本文抜粋

職人の作るものは、生活に根ざし、その技術に鍛錬した手仕事でモノつくりをし、質の高い安定した製品を作ることを良しとしてきた。
職人の世界では、「遊び心」という形で、その作品のなかに個性やさり気ない主張がある。
彫刻、鍛金、しゅ金、漆芸、陶芸、染色など伝統的な工芸のジャンルがある。

職人と芸術家は、根ざすものが違う。

アーティストばやりの今、その人たちは、「自分であること」をどんな風に捕らえているのか。
本来、自分であることから作られる作品を、どんな風に考えているのか?
一度、聞いてみたくなった。

自分流。自然体。格別。その共通点は、「ナンバーワンよりオンリーワン」である。
オンリーワンの自分を評価し承認して欲しいという欲求が、「アーティストになりたい」という欲求の根っこにある。
オンリーワンを評価してくれる場所は意外とない。
学校ではナンバーワンを筆頭に成績がつくられる。
オンリーワンが認められるのは幼稚園くらいだ。
就職でも当然ナンバーワンの者から採用される。
職場では常に人と競争し、ナンバーワンを目指すことを強いられる。
恋愛では、ナンバーワンやツーの男女が早々とくっついた後で、残りが争奪戦になる。
結婚すれば一応互いにオンリーワンということになるが、結婚自体のリスクが大きい。
ブログでも書いてささやかな自己満足に浸ろうとしても、アクセス数だの被ブックマーク数だのでランキングの格付けがある。
いくら「ナンバーワンよりオンリーワン」と唱えられても、世の中はナンバーワン体制をとっているように見える。
本文抜粋

《J》

「アーティスト症候群」