仕事中毒から過食まで 斉藤 学 著

「人間関係の病理」に共依存 (Co-dependency)という概念があります。
アルコール依存症や摂食障害・ギャンブル依存症・薬物依存症・仕事依存症などの、なんらかの行動への溺れは、一定の人間関係パターン(共依存)を基盤として始まると言われています。
その嗜癖(ある特定の習慣にたいする執着・アディクション)の病理が、家族の中の関係で成り立つような、そんな家族関係を『家族依存症』と名づけ、回復に必要な情報を、
説明している本です。

『嗜癖』には、一次嗜癖といわれる人間関係への依存と、二次嗜癖といわれる、アルコール依存症などで代表される依存症があります。
二次嗜癖の回復は行われても、一次嗜癖の人間関係の回復が必要といわれており、イネイブリングといわれている、
依存を促進させる行動が無意識に家族間で行われていると、スリップ(また、嗜癖に嵌ること。 例えば、禁酒している人が、また、飲み始めること)といわれる状態に見舞われます。

人間関係嗜癖は、社会的問題とも言われており、(社会の嗜癖化)会社で、飲み会の付き合いができないと、何となくかたみが狭いとか、断ることができないなどです。
飲酒運転の事故が増え続け、社会問題になりつつある今なお、依存症への、家族ぐるみの理解が、より、必要なのではないでしょうか。

アルコール依存者やギャンブル依存者の第一の回復は、嗜癖の強迫的反復を、社会が受け入れやすい嗜癖に変えたり、また、訓練によって、自動化された特定の行動パターンを生活の中に組み込んでいくことから始まります。

さらに、嗜癖を夫婦関係の問題、親子関係の問題、つまり、親しい間柄における、「人間関係問題」ととらえる視点が必要です。
ただ、それは、嗜癖問題の発生の原因が家族にのみあるということではなく、(悪者探しをするのではなく)各々が、より、自分らしく生きていくための視点のもちかたでもあります。

「否認の病」ともいわれる嗜癖は、ストレスに対処しようとする個人の対応策だったり、どうしようもないと思われる生活のスタイルから生み出されていきます。

一度、はまり込んでしまうと、自分自身では、コントロールできない嗜癖。
その背後にある優越感や達成感は、嗜癖者にとって、甘美でもあり、それゆえに、否認を重ねていく。
一度、自分自身の生活の中に潜んでいるかもしれない『嗜癖』にチェックしてみてはいかがでしょう。

(J)

参考図書 「嗜癖問題と家族関係問題への専門的援助」    福田あけみ・遠藤優子
「嗜癖する社会」  Schaef,A.W.

「家族依存症」