hon20140909内田 春菊  Uchida Shungiku

1959(昭和34)年、長崎県生まれ。
慶応大学通信制中退。
’84年「シーラカンス・ぶれいん」で漫画家デビュー。
『私たちは繁殖している』と『ファーザー・ファッカー』でドゥ・マゴ文学賞受賞。
他に『水物語』『南くんの恋人』『キオミ』『口だって穴のうち』等、著書多数

「今月の困ったちゃん」は、その昔、内田春菊のバンド「アベックス」のライブお知らせ新聞「アベックスだより」(今は出てないそうです)
に書いたコラムを文庫本にしたものだそうだ。
インタビューでバンドの事をいい加減に書かれたのを訂正するために書いた文の反響が大きくてその後も回を重ねる度に人気が出たとのこと。

勝手な取材記者、意味不明な音楽関係者、無礼な広告屋さんなど、学生バイトもお嬢様育ちの社員も、困ったことを言ったりしたりする。

「内田さんとこにそれほど困ったことが起きることはさ、内田さんに何か原因がある」と言われ、そのたびに傷つき考えた内田春菊が、「私んとこだけじゃないはずだ」と言う確信に支えられて書く。
どこにでもいるらしい困ったちゃん、さてどんな人の事なのかな。

この絵の注文は、さいしょ「S・EというとこのN」という人からやってきました。
お仕事の内容は「女性誌に一回使っていくらの使用料」ということでした。
まず下描きを描いてファクシミリでおくってということだったのでそうしたら「でんわのコードをにぎっている手の指が5本ほしいので親指を描いて」
とへんな注文をされ、なんだかよくわかんないけどそうしました。
もともとの注文のしかたも、そのS,Eのだれかが描いた「ぜんぜん私の絵と違うへんな絵」をみせて、「これでこのしごとをとったんでこのように描いて」
というかなり失礼なものだったので内田はもうこの時点で少し「ちぇっ、こっちが頼んだわけでもないのに」というきもちになりました。
そして、イラストを渡して、しばらくして雑誌『P』を見てたら、これが出ていました。
でも、みなさん、『P』は「女性誌」じゃないですよ。
それに、このとき「色校正」という、色が指定したとおりちゃんとついているかどうかを見る、だいじな過程を、その人たちは無断ではぶいちゃったんです。
ふつう、「こういうふうに使いました」
って掲載誌とかくれるのに、それもないのでマネージャーがでんわしたら「『女性S』と『女性J』と『P』に使いました」って平気でいったんだって。

本文 抜粋

仕事にはいろいろな事が起きるけど、そういうことってあるんだ。

仕事以外の普通の人も困ったちゃんになることがあるようだ。

『Mーニングショー』のレポーターのしごとをもらい、気仙沼という所に行ったときのことでした。
歩いている人にマイクをむけて、「こういうことがあるそうなんですけど、ご存知ですか」
と質問する場面だったのですが、マイクを持ってそばに行っただけで、逃げ出す人がけっこういて、すっかり驚いてしまいました。
「テレビに出たくないので、とらないでください」
といえばいいのになあ、と思ってしまいました。
まあ人それぞれだからしかたないといえばしかたないけど、声をかけただけで逃げ出されてしまうと、何だかこちらとしては、あんまりいいきもちではありません。
まあ、それはともかく、私がいちばん驚いたのは、あるおばあさんがいったせりふでした。
その人は、一応、「さあ、知らないですねえ」
と答えてくれたのですが、そのあと、「あっ、私をうつしちゃいけません、私は足が悪いのですよ、うつしちゃいけないです」
といいながら、逃げていってしまったのです。

本文 抜粋

うんん??
何処にでもこまったちゃんはいるようだ。

特に困ってしまうのは、『そういう人居るんですよね』と自分のことを棚に上げて言う困ったちゃんだそうだ。
確かにそうかも!

そういう人たちに日々接する内田さんや色んな困ったちゃんに接する人たちに『お疲れ様』。

(J)

「今月の困ったちゃん」