hon20150106乃南 アサ

東京生れ。
1988年『幸福な朝食』で第1回日本サスペンス大賞優秀作を受賞し、文壇デビュー。
1996年『凍える牙』で第115回直木賞受賞。
今もっとも注目される上流作家である。
著者ならではのサイコ・サスペンス。
『今夜もベルが鳴る』『幸せになりたい』等。

阿季子は元アイドルだ。
石原清隆と結婚して引退したが、この春に『朝の顔』として再デビューすることが決まっている。
石原清隆は映画の制作プロダクションを経営しており、阿季子と結婚した時、阿季子は『玉の輿』に乗ったと言われた。

阿季子と中学からの同級生で仲よしだった4人組、由記、玲子・ちなみは今は東京や小樽で暮らしている。
以前ほどではないにしても4人で連絡を取り合っていることに変わりはなかった。

由記は、小樽のタウン誌の編集長で、結婚し子どもも二人いる。
東京での生活に見切りをつけ、小樽に戻って今の生活を着実に築きあげた。

玲子は女優を目指しているが、今の仕事はキグルミを着て子どもたちの前に立つことがほとんどだった。
夢のためにいろいろな事をしたが、うまくいかない。

ちなみは小樽では名前の知れたアナウンサーだった。

それぞれ中学時代に夢見た将来とは少し違う生活をしている。

新築の阿季子の家で、アイドル時代よりは、肌のくたびれた阿季子から聞くちなみの噂は意外なもので、高校時代同様男遊びをしていると言う。
その場に居ない人の話しがいつも出る。

また、なぜ阿季子が売れて自分が売れなかったのかと訝しがる玲子だが、再デビューの準備をしている阿季子へ『子どもの様な肌になれる』クリームを紹介した玲子は、少しの効果もないどころか、肌に悪いことを知りながら、5万円もするそのクリームを、阿季子に進めた。
何も考えない阿季子は玲子のいう事を信じて言うようだ。

以前、仕事欲しさに玲子は阿季子の言うまま整形手術をしたが、結局仕事はなく、整形の後遺症でときどき猛烈に頭が痛くなる。

阿季子の新築の家で再開した由記と玲子だったが、送り付けられた贈り物は、素敵な箱に、ガラスの破片で埋められている、触れればガラスで怪我をするような小さなカボックの入ったものだっだ。
そしてそれ以外にも、嫌がらせとも思えることが、阿季子の周りで起き始める。

夫の所に送られてきた写真には、阿季子が他の男性を二人でいるものだった。
普段温厚な清隆だが、さすがにこの写真には嫌な顔をした。

阿季子は、運が強いのかなんなのか、効かないはずのクリームが阿季子の肌にてき面の効果が出て、子どもの様に色白の肌になった阿季子だ。
しかし昔からのイケメン好みの男遊びは、今もって止められないようだ。

皆に比べて地味な暮らしの由記だが、小樽へ阿季子が来たときに、小樽で自分のブランドのガラス食器を出すことを進める。
何も考えずすぐに行動に走る阿季子は、由記のその案に大賛成で、『将来は実業家になる』と張り切っている。

そんな好運な阿季子の身辺は、少しづつ変化のj兆しが見え始める。
そして、ところ構わず、何も考えず、言いたいことを、やりたいことをやっていた阿季子は、その運が尽きるように転落していく。

心理サスペンスだけあって、人の心理の微妙さ動きをうまく書かれている。
人って怖いところのある『生き物』でもあるんだろうが、果てしなく興味深い『生き物』でもある。

『凍える牙』や『幸福な朝食』で、その実力は十分発揮している乃南さんは、親友という枠での人間ウォッチングし、また、別の面白さが醸し出しているように思う。

仲の良い4人組の、その長いつき合いの内に籠もった恨みつらみは、思わぬ形で表に出ることになる。
と言いながらも、この4人は何とかかんとか云いながらも、付き合いは続くと言うことかな。

(J)

「微笑みがえし」