hon20150625サイモン・シン
青木 薫 訳

サイモン・シン Simon Singh
1964年、イングランド、サマーセット州生まれ。
祖父母はインドからの移民。
ケンブリッジ大学大学院で素粒子物理学の博士号を取得し、ジュネーブの研究センターに勤務後、英テレビ局BBCに転職。
TVドキュメンタリー『フェルマーの最終定理』(’96年)で国内外の賞を多数受賞し、’97年、同番組をもとに第1作である同名書を書き下ろす。
第2作『暗号解読』、第3作『宇宙創成』(『ビッグバン宇宙論』改題)がいずれもベストセラーになり、科学書の分野で世界中から高い評価を得ている。

 

『フェルマーの最終定理』は、人の死や詐欺まがいの事件までも織り込んだ味わい深い歴史がある。
この定理は、数学の発展に貢献もし、多くの数学者が証明できずに失敗した歴史もある。

その『フェルマーの最終定理』は、1994年、数学者アンドリュー・ワイルズによって証明された。
3世紀以上にわたって多くの数学者を悩ましたその定理は、
ワイルズの孤独で長い研究の結果、ついにその証明の長い史を閉じることになった。

ピュタゴラスの定理が直系の祖先とされるこの定理の歴史は、長い数学史の歴史でもある。

ピュタゴラスやエウクレイデス(ユークリッド)など、数学者たちの成し遂げた数学理論の歴史や、この定理の名前にもなっている、フランス南西部にあるボーモンド・ド・ロマーニュで、裁判所の仕事をし、数学を趣味としていたフェルマーのの話しが書かれている。

数学の応用としてのパズルやクイズに秘められている数学の考え方、また、谷山=志村という日本の数学者が、このフェルマーの定理証明に果たした役割のことなど、数学の面白く興味深い歴史が書かれている。
純粋数学のどんな矛盾も許さぬ世界で、ワイルズは、どういう風にしてこの定理を証明したのか。
虚数・実数・無理数などの説明もあり、数学に馴染まない人には難しく思う所のありながら、それに劣らぬ文章力で、読む人を引き付けるところは、筆者のサイモン・シンの文章力に負うところが大きい。

頭の体操と思い、興味深く読んだ。

(J)

「フェルマーの最終定理」