外山 滋比古  (とやま しげひこ)

hon201507031023年生まれ。
東京文理科大学英文科卒業。
お茶の水女子大学名誉教授。
専攻の英文学に始まり、
テクスト、レトリック、読書、読書論、エディターシップ、思考、
さらに日本語論の分野で独創的な仕事をしている。
エッセイストとしても定評がある。

勉強したい、と思う。
すると、まず、学校へ行くことを考える。
学校の生徒の事ではない。
いい年をした大人が、である。
こどもの手が離れて時間ができた、もう一度勉強をやりなおしたい。ついては、大学の聴講生にしていただけないか、という相談をもって母校を訪れる。
実際の行動には移さないまでも、そうしたいと思っている人はたくさんいるらしい。

………

今の社会は、つよい学校信仰ともいうべきものをもっている。
全国の中学生の九十四%までが高校へ進学している。
高校ぐらい出ておかなければ……と言う。
ところで、学校の生徒は、先生と教科書にひっぱられて勉強する。
自学自習ということばこそあるけれど、独力で知識を得るのではない。
いわばグライダーのようなものだ。
自力では飛び上がることはできない。
グライダーと飛行機は遠くからみると、似ている。
空を飛ぶのも同じで、グライダーが音もなく優雅に滑空しているさまは、飛行機よりもむしろ美しいくらいだ。
ただ、悲しいかな、自力で飛ぶことはできない。

本文 抜粋

物事の見方や考え方を整理し文章や言葉にする。
誰もがしていることだが、これはと思う文章を書いたり、人に分かってもらうことって難しい。

物事の見方・思考を整理し、自分の考えをまとめる作業に必要な様々な事柄を、日常で使っている筆者のやり方や考え方を交えて説明している。

グライダーのように、受け身での勉強を小さい頃から身につけている優秀な人たちが、大学や社会に出て、自分の考えを伝えたりまとめることができにくい。
やったことのないものは身には付いていない。
そういう人は優秀な成績を収めているのにも拘らず、自分の考え方をまとめるような場面で、どうしていいのか分からないとことが起きている。

思考は一度寝かす。
夢で考える。
整理の為にノートやカードを書く。
そのノートやカードの整理の仕方など、具体的に書かれてある。

この本は、大学生に今、人気があるらしい。

私たちの持つ二つの相反する能力である、与えられた情報を改変しようとする拡散的作用と、バラバラになっているものを関係づけ、まとまりに整理しようとする収斂作用を使い、上手く自分を表現したり、考えをまとめることができるように、筆者なりの様々な工夫や知恵が書かれている。

頷きながら、また成程と関心もし、普段の生活の様々な場面でどんな風に使おうかと考えながら、楽しく読んだ。

(J)

「思考の整理学」