筒井康隆さんの本に『アホの壁』がある。
養老孟司さんの『バカの壁』を思わせる題名の本だ。
その『アホの壁』の第5章に、「人はなぜアホな戦争をするのか」(タイトル)がある。

1969年のワールドカップ予選で、エルサルバドルはホンジュラスに負けて、これを悲観した熱狂的なエルサルバドルのファンの女性が、ピストル自殺をしたという。
この女性の葬儀に代表選手や大統領まで駆けつけて、それがナショナリズムが高まり、ついに外交関係断絶となる。
そして戦争が始まったそうだ。
まるでサッカー試合の延長ののように100時間あまりで終結したらしい。
それでも、数千人の死者が出た。
原因は自殺した女性だが、当然彼女には戦争を起こそうという気はなく、試合に負けたことに反応しただけだが、同種既存(ナショナリズム)の高まりにより、戦争が起こった、と筒井康隆さんは書いている。

同じように、1618年の「三十年戦争」もプロテスタントだったボヘミア貴族が、カトリックだったハプスブルク家からの3人の使者を窓から抛り出したのが元だという。
何とも言えない事の起こりに、驚いた。

熱狂的なファンなら、その気持ちも分からなくもないのかもしれない。
信仰を持てば、その気持ちに共感するのかもしれない。
そう思いながらも、ただ驚くばかりだった。

 

ナショナリズムとサッカー